ブナを植える/山人
 
ような小さな生き物がふわふわと飛び、エナガも集団であちこちの灌木の堅果を啄んでいた。着衣も三枚から二枚になり、最後は肌着一枚で作業を行った。三日かかって、ようやく二十五アールと言う僅かな面積を植え付けた。

 ブナが意図的に植え付けられていることを知ったのは、森林組合に勤め始めたころであった。どこそこの現場でブナの下草刈りをやるという事で出向いたのだが、ススキがぼうぼう生い茂る中にブナの稚樹が点在しており、その周辺を刈り払うという作業だった。当時は雑草と見間違えよく誤伐した。八年前にも新たなる場所に地拵えし、ブナを植え付けたのだが、目印テープを着けず植え付け、刈り払い時期にはことごとく誤伐した
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