晩秋幻影/st
小春日和に
恵まれて
やわらかな
陽射しが
晩秋の街にふりそそぎ
季節のリレーも
ひと休みする頃
さくらは花よりも
紅葉のほうが
きれいよ
といっていた
きみの笑顔を思い出す
きみを想い
見あげる空の
さくら紅葉の
ステンドグラス
きみの笑顔に
かくされた
きみの痛みに
気づかなかった
きみとぼくの
二人三脚は
いつから
ほどけてしまったのだろう
揺れまどう
幻影の
ガラス細工に
変化した
赤や黄色の
もみじ葉が
秋の重さに
たえかねて
ひらりとおちて
砕け散る
きつく
食い込んでいた
結び紐に
きみは疲れ果て
息切れしていたんだね
なにも知らずに
ぼくは
足もとを見ずに
走っていた
バトンを待つ冬が
山々の頂きを
銀色に染めはじめ
きみの面影を
映しながら
遠くで霞む
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