さよなら、どうせだしね。/月夜乃海花
 
か?」
私はその本をたまたま読んでいただけで、好きではなかった。しかし、好きと言ってしまった。思えば、そこからが始まりだった。
「この本は面白いんですよ。」
気づけば本と共に図書館に居る私に話しかけてくるようになった。
「何が面白いかというと__。」
成宮の悪いところはその本を目の前の人に貸そうとしているはずなのに予めトリックを言ってしまうのである。
「で、今回のその本は橋本だかがアレしたからってことだよね?」
「はい、そうです。あ、ごめんなさい。」
これが私達のルーティンワークだった。
全てバラされてしまう。それでも、なぜかこの成宮という人物に惹かれていき、次第に恋人になってい
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