白の惑星/道草次郎
躁うつ病がデフォルトの惑星の住人にもメンタルクリニックはある。という事はつまり、一人の男が気分の波の喪失に困り、とあるメンタルクリニックに足を運ぶこともあるのだ。
紫色の雨の降る、春でも夏でも秋でも冬でもない第五の季節には、ことにそういう患者は多いようだ。
男が話し終えると、医者は事務的に笑った。
「では、精神不安定剤を出しておきましょう」
「イエス、ドクター」
男はひねくれ者だった。男はときどき自分の夢のなかで、安定した精神がデフォルトの惑星の住民でもあるのだった。ドクターなんかに俺の気持ちが分かってたまるかい、そう男はひとりごちた。
だがもちろん、精神不安定剤は
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