こがらしと温もり/道草次郎
 
凩(こがらし)や袖でミラーを拭きし恋

寒風のとえにはたえや砂の色

空風(からかぜ)の上州廻りに馬具にほふ

くらき夜の背わたごそりと偸(ぬす)まれり

夕凍(ゆうし)みの剥がれし孤獨夙(つと)落ちぬ

いたる火を吹きけし来たり隙間風

しぐるるや橋をいなせば長堤(ながつつみ)

冬の空ふゆの海すら空の下

有り難き電気毛布や滝の壷

湯冷めして思ひつくまゝ星めぐり

戻る   Point(2)