襷(たすき)がけの やわらな眼にて なぞるのは 左岸の萩 たれては 波にことごと 忘却をすて むらさき色した瞑想 その ひと房の ながれては寄る 幻 にぎりこぶし一つ 敲(たた)くつゆ霜 からんころんと 里わに 鳴りわたり 滑り台のステンレスに たくわえきれない キジ猫の陽 いまは何処(いずこ)を 漂うか