立冬と幻の岸/道草次郎
 

襷(たすき)がけの
やわらな眼にて
なぞるのは
左岸の萩
たれては
波にことごと
忘却をすて
むらさき色した瞑想
その
ひと房の
ながれては寄る


にぎりこぶし一つ
敲(たた)くつゆ霜
からんころんと
里わに
鳴りわたり
滑り台のステンレスに
たくわえきれない
キジ猫の陽
いまは何処(いずこ)を
漂うか

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