水のような願い/道草次郎
一つの岩の裂け目から
ふた筋の源流が
滲み出すように
詩と生活とが
互いにあらそうことなく
ゆるやかな
斜面を
下っていけたなら
むねにわく
幾たりかのものは
雲のみとし
うらがわの生地をこそ
つねならぬ
この指のはら
それで愛でる者として
うち沈むよるへ
朝のまばたきを
静まれる湖に
なおしずまれる安寧を
やさしさを崩し
砂の城を
もう一度初めから
きのうから来た
旅人に
勿忘草の口付けを
そっと置く
風
そういうものに
ぼくは
なりたいです
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