離島/地下鉄を歩く/カワグチタケシ
 
起物が、島となって、海面にポイントをつくる。そこに漂着した種子であり、人であり、猫である。起源をたどることにたいした意味はない。離島においては、意味よりもディテールが最終的に力を持つからだ。

 東京メトロ有楽町線は闇の中を揺れながら走る。平日の昼間、閑散とした車内にアナウンスが流れる。次は永田町。私は地下鉄の車内を桜田門から麹町に向かって歩く。

 シートから投げ出された男たちの足が次々に退き、あたかも紅海を渡るモーゼを導くかのように、私の進む先を、一本の道を照らし出す。
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