神崎橋/ガト
 
遠くに見える鉄橋
電車が夜の川を渡る

橋の向こうに
工場の煙突があって
紫色の煙を吐いていた

光が川面に映って
水の上を滑っていく

それは
寓話の挿絵のように見えた

もとは他人だもの

そう言い聞かせて
知らないあなたを
光の中に探した

夢を見ているような
ぼんやりした夜

私を思い出すことがあるか
一度だけ聞きたい

戻る   Point(3)