あらしのよる/帆場蔵人
 
雨風に家が鳴いているから
壁の写真を剥がして日焼けを数えて太陽を
探しています、乾いた唇が忘れた温度は

カップの欠けた縁みたいに痛覚を撫でる

破いて散らした写真の風吹は夏の嵐を
さらに、呼んで、窓の外には、骨の折れた
傘が雲の一点に穴をあけ手招きしています
あれは今はもう無くした幼い日々にいた
誰かの影、雲の上には太陽が待っている
けれど、私は一足飛びに飛べないから
この壊れかけた家を守る家守です

しまい忘れた風鈴が家鳴りと戯れていたら
ほら、湯の沸いたポットが吹き出す、悲鳴
破いた写真のなかに見つけた太陽が輝いて

目をすがめながら、私は冷たい床を這いまわる
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