オオイチョウの樹/道草次郎
 
日々色付く里

地の守り神である
オオイチョウの頭が染まる

昨日はおとといよりも
今日は昨日よりも
確実に変化してきている葉の色

樹の寿命は長い
何世代もの人間をみおろし
年々に
その葉を黄金色に染めてきた

人の一生でははかれない眼差しを
樹はもっている

それでいて
ハラハラと道路におちる一枚は
まるでこどものように軽い

どんなものでも
よく見ていれば道を教えてくれている

秋のベンチにたたずむような
控えめな仕草で
戻る   Point(6)