飴色の雨/月夜乃海花
 
「もっとブランコを揺らして!」
「そら行けほら行け、あっちがゴールだ!」
子供たちの声が聞こえる。
公園のベンチで独り座る自分。
子供たちは今日も騒いでいる。
「ねぇ、空から飴が降ってくるよ」
「綺麗だねぇ、綺麗だねぇ」
赤、青、黄、緑、白、数えきれない色の小さな粒が落ちる。
こつんこつん、こつんこつん。

「ねぇ、ここにいたら溺れてしまうよ」
「綺麗だよ、綺麗だよ」
少年が少女の手を、腕を引っ張っている。
必死な痛いほど脆い手で。
私は無言で傘を差した。
「嫌だよ、嫌だよ、僕は怖いよ」
「ここに居たら、お腹空かないもん」
「早く逃げよう!」
「嫌よ、嫌よ」

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