言語爆発2/につき
 
たとえば
並び歩く二人が
気を置かずに話している
一方が振り向くとき
他方も同時に振り向いている

たとえば
双子が同じ夢を見る
電話でその話をするとき
互いの脳裏にはありありと
同じ景色が描かれている

たとえば
突然の雷鳴が轟く
走行中の列車の車窓を震わせる
乗客が一様に首を竦めるとき
彼らはまったく一つである

言葉がいらないとき
互いが同期しているとき
言葉は忘れられている
そして
そのとき言葉たちは
微笑むように漂い
思い出すように見つめている
今という
物語が綴られていく

たとえば
秋空は晴れている
どこかで
金木犀が咲い
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