我らの言語はいつも爆発している/につき
たとえば
並び歩く二人が
気を置かずに話している
一方が振り向くとき
他方も同時に振り向いている
たとえば
双子が同じ夢を見る
電話でその話をするとき
互いの脳裏にはありありと
同じ景色が描かれている
たとえば
突然の雷鳴が轟く
走行中の
列車の車窓を震わせる
乗客が一様に首を竦めるとき
彼らはまったく一つである
言葉がいらないとき
互いが同期しているとき
言葉は忘れられている
けれど
幼いころよりずっと
誰と過ごしてもいつも
何処にいても何故か
忘れはしなかったことがある
たとえば
秋空は晴れている
どこかで
金木犀が咲いてい
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