不完全に燃焼する罠/こたきひろし
あなたみたいな若い人には嫌われてしまうね。
言われて彼は即座に否定した。
そんな事ないですよ。お姉ちゃんみたいで心癒されます。
などと自分を誤魔化しながら聞いた。
けいこって言うんですか?
彼が聞くと、お姉さんはちょっと嫌な顔をしながらも教えてくれた。
マスターは姪だって言ってるけどさ、怪しいわよ。だって年頃の姪ごさんと一緒に暮らしてるんだからさ
普通に考えておかしいでしょ
と聞かされて彼は落胆してしまった。自分はいったい何の為にこの店に来たのかを考えてしまい気持ちが
宙に彷徨う自分を発見した。
その時、彼は十九歳。未成年の冬の夜だった。
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