取り立てて書く事でもないこと/道草次郎
ヶ月はそれまでの人生の中で一番苦しかった。地獄についてこんなにも考えたことはなかった。どうも、天国についても地獄についてもこんなに考えづくめに考える事になるとは予想だにしていなかった。別にぼくはなんの信仰も持っていない。しかし、そういう事を死ぬほど考えた。それがどういう意味かはわかる人には分かるだろう。
今、ぼくは自分のことを考えてみると、じつに大した人間ではないと思うばかりだ。なんでこう大したものでもない者が、あんな風におおげさにジタバタしたり、たくさん詩みたいなものを書いたりしたのか。まったくもって不可解である。人間のすることは変わっているし、莫迦みたいだ。自分がそれの代表格のようなつも
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