虚無感/道草次郎
う
よく分からない
自分の根っこなどどうでもよい
さっき考えたことが今はどうでもよい
憎悪も愛もどうでもよい
空想家も現実家もどうでもよい
工事の音だけがする
そして自分はいささか病的かもしれぬ
じつはそれもどうでもよい
ただ工事の音がしている
それだけだ
空は曇り
ここはあの世かそれともこの世か
そんなこともどうでもよい
ただ
工事が行われているっていうことが
この世界の条件をたんたんと規定しているのみだ
そういうことも
まあどうでもよい
この詩だけはどうでも良くない
と言いたい自分などは
つくづく
本当に
どうでもよろしいのだ
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