文身/あらい
 
文賭(あやと)する
 白銀の途に足跡が落ちています
 さまざまな思いが奔る ばかりの残響が
 駆け巡るのを眺めましては、
文遠(ぶんとお)く
 しげしげと認める 夕餉の彩を
 お伝え出来ないのが 実に無念であります。
文標(ふみしる)す
 口を塞がれた山鼠の道筋は確かに
 あちらこちらに灯火を遺してゆくもので
 さて、あるべき場所は
 どこへなりとて息吹周りて軌跡と伝染り込むもの。

やむことのない あめかぜにただ、ただうたえよ
風花よ、舞い 賜えよ

 否定も肯定もいらないから
 抱きとめて欲しいだけ
 コトバなんか決して入れないで
 私、泣いて終うから

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