みちしおどき/あらい
 
 いつかの境界線に経つ 山門の、拠り所は狭苦しく通り抜ける。

 すがらの今日も満月は絆されては吊られ射る。また一段と赤くあたたかく沈み翔る太陽より、艶めかしく毒される紫空に寄っていくつかの物々しさも猛き鷹る。

 闇は苦楽も伴に山海を駆け魅せると標す。

 今宵の山肌を鬱血した華華しい曼珠沙華や、ひそりと彫られいく鬼灯の 編みかけのお縄がこれも朱色に結ばれ か細い糸を飼わせておくかのよう戯れに撓み、しとりと延した蚊帳に囚われた懐に揺られ かの女郎蜘蛛と、憂いたままの天病、轟くばかりの斑の和金たち。
 庭には2羽白鳳が、喉輪を咲かれた鉛丹に更々に吊るされ、抜穫れ要る最中でぶらぶらと空
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