宝焼酎/草野大悟2
 
こるが一番うまか
そう言ってオヤジは
宝焼酎のお湯割りを飲んでいた

焼酎九、お湯一
ほとんど宝なその飲み物を
旨そうに、グビッ、と飲むオヤジの顔は
幸せそのものだった

おれは それを眺めながら
こんなエチルアルコールみたいな
どうしようもない酒をよく飲めるな
そう心から侮蔑していた

洋一郎
ある日オヤジが言った
洋一郎、こらぁ、お湯で割っと甘もうなって旨かっぞ

おれは オヤジの言葉を聞き流して
高い酒ばかり飲んでうんちくをたれていた
高いことは旨いこと、そう思っていた
そんなおれをオヤジは不思議な生き物を見るようにながめ
いつも必ずおれが飲んでい
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