雨の塔/タオル
 

昼間だけど電気をつけないといけない昏さで
どうということはないけど
しみじみと低いこころをつくえのうえにうかべている

あたまの向こうには
昔からずっと同じ時計があって
何時かわかるということは
針が回っているということだ

朝に食べたパンの屑を拭き取って
まだおなかがずっしりと重い

子どものとき、
太陽の塔を見て
雨の塔もあるかと親にたずねた
『雨が降ったら太陽の塔は雨の塔になるんや』
と親はでたらめを言った


針の音は聴こえないが時間は経っている


やがてカレンダー数十本ごとの大量の時間が過ぎ去ったとき
もしも捌ききれなかった自分が老後を歩いているならば
ふらふらでも抱えているのは
今日のような日の堆積が静かに煮凝ったもの、なんだろうか







あたまのなかに
ピンとした太陽の塔が置かれる
とても小さく
とても小さく



世界が一瞬静まり返る




……雨音が
歌声のように響き始めた












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