銀漢夜行/道草次郎
 
満潮の砂洲(さす)に砕けて連銀河(注:1二つの銀河が交わりあったもの。大マゼランと小マゼランとの関係が有名。)

脚首に秋蝶空に鳶(とんび)這う

燃え滾る氷の静寂(しじま)イオの汐(しお)

月の地下菌(きのこ)の帝國ヒカリダケ

背腸捨て血糊の指に驟雨(しゅうう)去る

長閑とは修羅の横貌(よこがお)狐ばな(注:2彼岸花の別称。)

軽々(けいけい)とメテオをいなす神の木星(ほし)

ペルム紀の孤獨の鑪(たたら)古細菌

灼かれいく巨億の絶唱(こゑ)の白亜層

なまなかの猴(さる)の轍にガンマ降る

捫曲(ねじま)げて光を喰らう縮退星(注:3ブラックホール等のこと。)


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