振り返ること?/道草次郎
なるべく避けるようになっていた。
しかし、この一連の出来事による心の動きこそまさしくぼくが学びたかった事であり、自助グループ開催にあたり宣言した「幼稚園からやりなおしたい」という自分の希望を見事に叶えてくれた願ったりの贈り物だった。だから勿論ぼくはソファーから身を起こし皆の前で息を押し殺していたさ中にあっても、心の何処かでは物事が思う方向へ流れていく気配をずっと感じていた。
とはいえ、ぼくが世間で生きて行く上で重要とされる何かを中学校の校庭の隅っこの辺に置いてきてしまったのは事実で、その事をよくよく考えてみる必要は以前にも増してあったし、自分はこれからどんどん慎重な人間になっていくべきだと考えるようにもなっていた。
然し乍らこの時にはまだ、ぼくのこの生き直しの旅がその端緒にすら付いていないということは、全くと言って良い程自覚されていなかったのである。
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次回に続きます。
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