振り返ること?/道草次郎
 
主であったという事実に嫉妬した。そして、では何故お前はこの場にいるのかと言いたかった。しかしそれを言うことは即ち自分に対しても同様の事を言っているに等しく、ただ人と人の間にはそうしたすれ違いが生ずるのみなのだという事に気付くだけだった。

これに気付くと、ぼくは、自分のやっていることが全部何もかもバカバカしく思えてきたし、ある時はソファーでの歓談のさ中にやにわに立ち上がり、その場を放擲したことも何回かあった。そんな事がありながらもぼくは相変わらず自助グループを続け、やって来る人たちの長所を褒め続けた。もっとも幾らか以前よりは慎重さが身に付き、押し付けの善意のように取られかねない行為・言動はなる
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