ゴミ屑箱の中の本懐の澱に棲むミジンコの心臓/道草次郎
 
いきたい
低い潅木の奥
生々しい息をする肉食獣だけが
ぼくを浄めてくれる

ねぇ
ぼくは肉で
お前は捕食者

ここに
家庭問題の入り込む余地なんてあるかい?


無記名


世界は死んでしまったものに
名をつけない
個人的な閉鎖は
無記名のうちになされる
かなしみは
かなしまれまない
虚しいと言っても
押し黙るばかり
それが
正しいあり方であると
歴史が教えたからか
それとも
祖先の言い伝えか
世界は死んでしまったものに
忘却を与える
忘却などつまらないから
死者たちは
ときどき蘇えったりする


光明



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