鈴虫/道草次郎
 
あの手この手を駆使し
時間にしてほぼ二時間
ぼくは自分がいかにこれまで我慢してきたかを伝える
君は自分もあなたと同じだけ我慢してきたとさらりという
ぼくはこれでもかというくらいほとんど全身全霊でそれを主張したのに
君はあっさりとその主張を退けるんだから
そりゃあもうクタクタで

でも
ぼくは君のそんなところが好きだよ

もしぼくが君なら
相手のことがなんだか気の毒になって
剣を鞘に収めちゃうだろうから
だけど君は剣を構えたまま微動だにしない人だ
それに
疲れてもクタクタだなんて言わないし

こんなぼくにはもったいない
たぶん生きることに全うに向き合うことのでき
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