エアリアル闊歩/あらい
 
少し口角を上げた三日月は心を食い荒らしている 
がみがみの大きな口を縫い 星星を抱いた罪深きつけ爪の赤を
初める 
熟れた柘榴に切っ先を、ウツボカズラの試験管に漬す
死した君の瞳の奥底に囚われた魂を
母親から引き離した雛鳥を
朝の影は、鋭利な嘴で、さえずるだけの空間を演出する
断絶された邪を殺しては埋めていく
土塊の人々はきらびやかに形を懐く、住処はすぐそこ、
奈落と共に有難み 拝みながら死ぬことも厭わず、
甘い蜜に酔っているオルゴール上の快楽で躍れる戦慄とは
以下に問う
春夏秋冬の逐一をアオミドロの温室で 男女に選別する。
誰にでもできる物乞いのさまを 路頭に転がる廃石
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