私に触れないで/あらい
 
「だれとつみとった。そのあかいくびを、契っては、恋を叶えたの。」

乾涸びたさざ波の風雪と 熱病に曝され熔けて言った
(萌ゆる焚き木と燻り、さるシビトの唇を湿らせる)
時は刻まれ続け 母船の数だけあり ふれた水平線を擁く
(打ち上げられた花殻は海月みたいなワンピースと)
いまもって深き湖には胡蝶が螺旋と続き華々しく唄い咲く
差し伸べた 光の眼差しから 野茨の弦が延びた先に
自然にわらう。あたたかな陽射し うたかたにあり

おやゆび姫がそこに落ちていた、ぽかんとしていた
なんて 秋桜のほほえみ、ただのひとりぼっちの
未だ早起きの薄闇に誰かを待っていたかのような
可愛らしく可
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