吐露とねがい/道草次郎
ぼくは自分のもつ暴力に
気付かないふりをする
ぼくの良心はか細いので
気付かないふりをしても
折れない
折れてしまう人のことは本当はしらない
残酷が
ぼくの初期条件だ
それを罪と呼ぶほどに
ぼくは誠実ではなく
純粋でもなく
人間
ですら
ないのかもしれない
悔悟のよそおいに慣れ切って
もはや何を着たいのかも分からない
ぼくは人に暴力を与える
人は暴力をとおしてぼくの顔を見る
かぶりをふって人は
純粋さを
失うまいとする
しかし
それらすべても
うそで
本当は人は
ぼくの懐に暴力を忍ばせている
ぼくは気付かないふりをして
爆死する
そしてふ
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