対話へ/道草次郎
 
世界はやさしい
世界はぼくが
ウィトゲンシュタイン
でなくとも
無関心でいてくれる
夜毎
カタバミの実を
弾けさせては
北極星を
指でつまみ
あますところなく犇めきさせては
鯨に足を生やすのに
いそいそと
夢中だからだろうか

昨晩
眠れずに
そんなことをかんがえた

そんなぼくを
きょうのぼくが
世界の椅子に
座らせる
お茶を汲んできて
胸ぐらを掴む

対話を
はじめる時だ

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