中空蘭鋳/あらい
なみせんを もがき ふけることは
およげない たましいの あぶくたちの
うまれたら いいのだろうと きりのない
もやのなか で あって しまったことです。
えらく傷ついた古鯨の少しの命を垣間見て かわのそこに訴(うた)うたう 地に這う砂礫の、一粒にひとり。あの世から座礁した人間の、便りない夢が光る。海岸線に 犇めく波の花 それもまた 解けてしまう先行きの 愚かな 暖かな逝きでした。 届かない天に思いをそらし、一噴きに翔ける ただのちしお。 多量に打ち上げた 地上のいのちを ひとのみにする、開眼船上に夢を たゆたえ 褪せていく こと。夜明けの残骸が、私。 底に横たわるともう 海はかれて無
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