雨のあとに/道草次郎
 
昨日の大雨で生き返った緑

庭の一輪車にはたっぷり雨水が溜まっている

そこには逆さまにブナの梢が映っている

青空は青く

雲はわずかに漂い

オオキンケイギクの花は黄色い

大きなごわごわしたタオルケットを干そうとしたら

紛れ込んでいた靴下が土っぽい犬走におちた

なんということもないことが

ひとりでに起きてしまう

ぼくは腰をかがめて靴下をひろう

そこには

世界や言葉は入ってこられない

聴こうとすればきこえてくる

虫の声と風鈴の音

が、ただ在って

ただ在ることとは何かと

ぼくに問うている


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