櫂/道草次郎
 

囁きが_____


こんなマイナス
なんになる
はたのメイワク
知りもせず
行き着く先も
見えぬまま
ふたたび朝の
到来で
この到来を
絶望と
言ってしまえば
それはそう

けれども
けれども
泣かないで

救われるでなく
呪われるでなく
打ち続く
この平板で
おそろしく
白けたら海に
舟ひとつ
ちゃぷんと浮かんで
いるだもの

それは
まことに
そうなのだ
それのまことは
まことゆえ
息も絶えだえ
漕ぎいだす
舟の
勇気は
なにゆえか

ゆえなきものの
かなしみの
姿を見ては
泣きぬれた
月は
だからあんなに
白いんだ
だからあんなに
やさしんだ

まことを
まことに
なぞるしか
なすすべなしと
いうような
月の涙を
今朝もまた
なすすべなしに
浴びている

あなたは
もはや
櫂なのだ
痛々しくも


なのだ






Gさんに

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