風のおと/千波 一也
 
朽ちた葉を踏むと
乾いた音がする

傍らに歩くむすこが
聞いて、と
教えてくれる

朽ちた葉を踏むと
風の音がする

今まで気にしなかっただけの
あまりに満ちあふれた
音がする

むすこはいつまで教えてくれるだろう
わたしの聞き逃したものを
見落としたものを

純粋無垢な散歩道には
有難い言葉たちが
たたずんでいる

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