8月14日。未日記/道草次郎
に見えるが本人はいたって真面目。深刻な顔をして、時には頭を抱えその辺をうろうろしている。警句の本だけは手放さない。
右上の2つ目の部屋。この部屋の住人は常に汗を流そうとしている。考える事といったら政治や経済の動向、上役への中元の心配、最近巷で流行っている伝染病のことなどだ。多岐にわたるものの、それはどれもこれも実質的でしっかりとした輪郭を有している。この部屋は労働と生活の部屋だ。
3つ目の部屋。これが1番不思議な部屋である。それは、無意識の部屋だ。この部屋の住人は一定ではない。つまり、ある時は臆病な小学生、またある時は還暦を迎えた主婦。かと思うとスタイを付けてニッコリ微笑む
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