愚かさ/道草次郎
シータが
そうであったように
飛行石を持たないけれど
ぼくらは
とにかく
底の闇へと
それらすべての一連の出来事は
おおいに愚かで醜くもあり
間違っており
なおかつ滑稽で虚しく
迷妄にとらわれ
犬も食わないのだが
けれども
ぼくらはふたりして互いが
壊れるまでヤリぬきはしなかった
ぼくらは
潮の満ち干きに倣った
おろかであり
みにくくもあっても人は
自然に抗えはしないのだ
よくわからないままに
もちろん結論など持てるはずもなく
ぼくは明日
君のもとへ行くだろう
破綻した感情すら
もはやない
君の病院に連れ添って
たぶん
こどものオムツを替えるため
こんなにも
僅かな時間で
なにもかもがぐちゃぐちゃになったのに
夜は平然とそこに有り
月は皓々と輝いている
ぼくらはいったい何なんだろう
なんで
存在してるんだろう
そんなくたびれた問いかけだけが
荒んだ心の軒先に
ぷらぷらと少し可笑しくぶら下がっていた
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