未日記/道草次郎
ラー音を無視してゴミ袋を片付けようとしたことが余程気に入らなかったのか、そいつは持っていた空のコンテナを工場いっぱいに響き渡るほどの高音で以てコンテナ置き場に叩きつけた。処理しきれず溜まっていた梱包用のビニール袋をものすごい勢いで掻き集めると、肩が脱臼するのではないかと思うほどの渾身の力を込めてゴミ箱につっこんだりした。もちろんぼくの目の前でだ。ぼくは顔には出さなかったが内心笑ってしまい、本気でそいつの肩の具合を考えた。それにしてもパワハラという言葉は奴の為にあるんじゃないかと思ったが、けっきょく上役はぼくの上訴を取り下げてとりあえずの経過観察を言い渡した。ほんの少しの同情と全然現実味のないゴリラ
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