出帆/道草次郎
 
くらしがある
声がある
間違いがあって
また
肉となる


ああ
時は 風
命ずるままの色彩だ
こんなにもみごとな
朽ちかけた櫂があれば
まるで銀河の河は
珪素を孕んだ大海嘯だ
おれはぽつねん
思想の森の上にうかんでいる
踏みしだかれた石蕗の
あざとい黄花が波に掬われ
轟くように哄笑っている
博物学の透明な希求は
夜汽車の真空管をとおっ
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