もう一度/道草次郎
もう一度
話そうということになったけど
もうなにをどう
話していいのかもわからない
君の声を聞くのが
ほんとうはこわい
君も
たぶん一緒かな
ぼくは
もう以前の君の知っていた
ぼくじゃもうない
力仕事をしなくなり
少し太った
日焼けしないから
二の腕が白い
でも一番変わったのは
こころだよ
ぼくにこころがあればの話だけど
それでも
話さなきゃならないんだね
色々なことに
蹴りをつけるために
上手くいきっこないけど
少なくとも
何事かは変わるし
おもえば
君はぼくの何を知っていたんだろう
そしてぼくも
君の何を知っていたんだ
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