文章/道草次郎
 

読み手がいることを素直に認め、その相手に対して礼儀を尽くすような文章がいい。

言葉がナイフにもなることを知っていて、文章を書くことは誰かを傷付けるような行為であると自覚している文章がいい。

野の花のような、雪を被ったナナカマドのような、塀を這うめくらぶどうのような、月見草の花のような文章がいい。

今夜、夜空は晴れているだろう。
ふいに夏は到来した。

昔観たドラマのワンシーン。
大人の男と少女が満天の星空を見ながら星座の話をしている。少女はオリオン座の神話、大人の男は夏の大三角形の話をする。草むらに座る二人は既に龍の化身。蛍は乱舞し、風は微風。

いつかはそんな懐かしい文章を書いてみたい。
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