色彩・印象/滝本政博
 
オルガンを弾くその滑らかな指の動き
室内は少し暗く
表情までは分らない
窓の外は遠くまで向日葵の畑だ
種子の周りを囲む舌状の花びら
黄色の群れ咲く中に
遠く稲妻が走る
銀塩のネガの上で反転する色
青い残像が定着する
オルガンの音が止まり
雨が降りだした

     *

ときおりむしょうに
絵画が見たいとおもうときがある
そんなときは
音楽でもなく
文学でもなく
絵画でなければならないのだ
その線であり色であるものに
掴まれて揺さぶられたいのだ
わたしの細胞が絵画を欲しているのだ
そんな時わたしは美術館にいる

     *

楽園にいた

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