わからないことばかりなので/滝本政博
 
あなたのスカートの中で暮している
というのは比喩だが
すべてはメタファーである 
だが何の?
わたしの放った鳩があなたの胸まで飛んでゆき
白い花を咲かせる
理解するのではなく到達する試み 

そこにいるのですか
あの日 夜になっても探してくれたあなた
わたしも探していたのです
雨が何もかもを濡らしてゆく
流されてゆくだけの感情があれば
また感情が戻ってくるのであれば
あなたの腕のなかでどのような雨も心地よかった
雨の音を聴いていると
血管のなかを幸福の種が巡るようだ

あなたが触ってくれる時
どんな顔をしていいのかわからない
明け方までの遠い距離
鐘は鳴らず天使たちは合唱しない
二人の吐息だけがそこにある
抱き合って切れ切れの眠りを眠る
あなたとわたしは千にも分断されて
朝が来るのを遠くに引き延ばす
何度も目覚めては抱きしめ合う
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