歩くことひとつにしたって語り尽くせるようなものではない/ホロウ・シカエルボク
 

廃道の縁石の上に腰かけて週末のブルース、三連符のリズムで歩道を啄む鳩ども、フライパンの上の季節、なにもかもまるで白昼夢のようさ(夢じゃいけない理由ってなにかある?)寝転がりたいくらい草臥れてるけどこのご時世迂闊にそんな真似は出来ない、日常はどこか緊張している、たいして生きてもいないようなのが死にたくないって目を血走らせてるのさ、理由を持っている人間にゃそんなのお構いなしだぜ…長過ぎた梅雨がようやく開けてみんな手ぶらで歩いてる、もうすぐガキどもが朝から晩まで騒ぎ出すだろう、そうだよ、知らないうちは楽しいのさ、だから、大人になっても知らないふりをしてるやつが多いんだ、俺は知ってる、夢じゃいけない理
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