朔夜/あらい
 
瞳の奥に胡蝶がいることを確かめる為に、
無花果の中に眠る思い出も何も、幾重にも綺麗に割裂かれている。
君の襞では脳裏に描ける、しかし円ツブラが要るものである。

内と外に毀れた、上手くもならない言い訳を模様している糞にも満たない汚物の私たちを、綺麗に見えるかどうか、優劣ともとれるみてくれの輝きは、ただの偶然と必然により分けられる。
皿に盛られた生首から紡ぎ出された言葉たちは色と形を保ち、その一瞬の出逢いの意図、おり合わせる縁に至る。偶然が結び合わさり形成されるこの世界の鎖は、至極死期の錦と成る。
四季色彩の死期折々の感情が荒れ狂う、春の嵐にも醸すことを、誰彼も待ち草臥れた雑草の一つに過ぎないというのに。
ただ出会ってしまった安上がりの偶像たち、可愛くて可哀そうな路地裏の子猫たちに愛を擁いて。

還ろう、孵ろう
それ以上紡いでは無駄であろうから

つきのものたちへ:擬題
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