シルエット/由比良 倖
 
私はあなたの顔が見たい
いえ、あなたのその顔じゃなくて
誰にも私は伝わらないけれど
私は伝えようとしている
もしかしたら私は私を殻に包みすぎているかもしれないけれど

枯葉に出会うように
あなたがあなたの思い出に出会うように
私に出会って

個性を失うと
親に似ていると言われるね
私と弟は似ていて
例えば口癖が似ていて
私は私の口癖に気付くたび
私が磨り減っているような気がする

身に付けようとしてきたことで
私は潰されていく
思い出の中には
私 私 私 がいて
それらのひとつひとつに
後悔の文字で枠を付けていく
なまめかしくて
やめられない


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