[:talon/プテラノドン
 
その夜も、公園に集まる子供たちは
ベンチに座る男を取り囲む。
男は慣れた様子で、握った両手のこぶしを
くるくる回して踊ってみせる。
そして最後のひとりまでも催眠にかけると、
ぱっと手のひらを開く。すると、
園内のセミが一斉に鳴き声を上げる。
子供たちは「やっぱりすげえ!」と言う。
歓声と感嘆。
そのふたつを引き受ける腕を持ってこその
大人だろ?

君はそれらの一部始終を、
マンションのベランダから見下ろしていた。

「ちゃんと仕事はしているの?笑ってる?」

そして更地になったあとの
立て看板にも、
飢えた鉤爪のような
クエスチョンマークが
引っかかったまま。
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