私に見えるものだけが真に見えるもの/道草次郎
誰かとあって
そのひとも
いつかは死んでしまって
ぼくもしんでしまって
でもぼくがしんだら
もう誰も死ねないね
だからごめん
花の首飾りがしたい
空はぽかんとあいた人間で
世界はただの貝塚で
ネアンデルタール人が
発明したんだよ
埋葬って
ほんとはないんだってね
世界
知ってた
知ってたよ
けど
生きなきゃならなかった
もうあのひとも
探さないでって言いのこし
連絡をたった
思い切り
ぼくは誰かをあいしてしまおうかな
つまらない
復讐かなんかのために
でもやっぱり
そのひともぼくも死んじゃうんだ
ぼくがはやくしんだら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)