おおきなロボットのてのひらの上で/カマキリ
知らないふりを続けていれば
はじめから何もなかったことにならないかなぁなんて
街を見下ろすおおきなロボットのてのひらの上で
消えていくものに焦りながら
八つ当たりでも見当違いでも
振り向きながら去ってしまえばどうとでもなるのに
きみの残像を打ち壊すようなビームは出ない
忘れていくことに焦りながら
掴んでもすり抜ける雲を辿って
虹のたもとに行きたいのに
きれいだったあの横顔が邪魔をするんだ
まだ今もひとつ影の足りない風景に
時間が過ぎてしまうのがおそろしいんだ
知らないふりを続けていれば
はじめから何もなかったことにできないかなぁなんて
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