夜に覚める/道草次郎
 
にスキップし、星座はいつになくくっきりと夜空に縫い付けられているはずだ。
夜空を見上げたぼくは、そこに、点滅しつつゆっくりと虚空を移動する一つの光点を見つけることだろう。
上空を飛ぶ旅客機ではキャビンアテンダントや乗客たちが、微笑みながら人間の町を見下ろしているに違いないのだった。

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ぼくはルイボスティーのコップをテーブルに置いて心の中でこうつぶやいた。

「いけない、もう寝なきゃ。朝がきてしまう」

もうだいぶ遅い時刻だった。
すぐにでも布団にもどり、ぼくは、頭のなかのあらゆる思いを振り払い寝てしまわなければならなかった。

皓々とした月明かりが、夜明けを知らせる白みにとって変わられないうちに、少しでも早く寝てしまう必要が、その時はあるような気がしたのである。

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