混沌ー予備校のことなど/道草次郎
 
る事を感じずにはおれない。それが実感である。

予備校生だった時ぼくは、おじさんというものはとにかくよく分かっているものだと思っていた。少なくとも自分よりは分かっていると。


しかし、ぼくは昔のぼくに言いたい。
歳をとるというのは自分が未来へ歩いて行くんじゃない、未来の方がこっちにくるんだ。人はじっとしているだけさ。未来から吹く風は体を揺らすけど、なかなか中身までは届かない。でも、それを良いとか悪いとかの基準で判断するのはやめた方がいい。複雑さと混沌をありのままに引き受けること、そして振り返らないこと。いまぼくに言えるのはそれだけだよって。
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